調理師試験の受験資格【学歴+実務2年】職歴に入らない業務・証明書の書き方
調理師試験の受験資格は「学歴」と「実務2年」の両方を満たす必要があります。とくに実務2年の判定は、対象施設の定義・週の勤務日数と時間・複数職場の合算・「調理業務と認められない」ケースなど、誤解が多いポイントが集中しています。調理師法・調理師法施行規則の条文と、調理技術技能センターほか実施機関の公式発表をもとに、細部まで整理しました。
最終更新:2026年9月5日
1受験資格の全体像――【学歴】かつ【職歴2年】
根拠は調理師法第3条第2号です。条文は次のとおりで、要件が「学校教育法第57条に規定する者(=高等学校の入学資格を有する者)」と「厚生労働省令の定める施設・営業で2年以上調理の業務に従事した後、調理師試験に合格したもの」の2つに分かれていることが分かります。
2【1】学歴要件
- 中学校卒業以上の者(学校教育法第57条により高等学校の入学資格を有する者)
- 旧制国民学校高等科の修了者、旧制中学校2年の課程の修了者、または調理師法施行規則附則第3項によりこれらと同等の学力があると認められる者
外国の学校・外国人学校を卒業した場合は「学力認定書」が必要
学校教育法により各種学校として認可されている外国人学校(朝鮮学校やインターナショナルスクール等)の卒業者、および外国における学校教育の課程が9年未満の卒業者は、上記の学歴要件に直接は該当しないため、都道府県知事による「学力認定書」が別途必要です。
3【2】職歴要件――対象施設の法的な定義
職歴要件の根拠は調理師法施行規則第4条です。条文は次のように、施設を2種類に整理しています。
一 寄宿舎、学校、病院等の施設であつて飲食物を調理して供与するもの
二 食品衛生法施行令(昭和二十八年政令第二百二十九号)第三十五条第一号、第四号、第二十五号又は第二十六号に掲げる営業(喫茶店営業(喫茶店、サロンその他設備を設けて酒類以外の飲物又は茶菓を客に飲食させる営業をいう。)を除く。)」
第二号が指す「食品衛生法施行令第35条」の4つの号は、それぞれ次のとおり定義されています(食品衛生法施行令より抜粋・要約)。
| 号 | 営業の種類 | 政令上の定義(要約) |
|---|---|---|
| 第1号 | 飲食店営業 | 食品を調理し、または設備を設けて客に飲食させる営業(次項の魚介類販売業等に該当するものを除く) |
| 第4号 | 魚介類販売業 | 店舗を設け、鮮魚介類(冷凍を含む)を販売する営業。魚介類を生きたまま販売するもの、容器包装された状態のまま仕入れそのまま販売するものは除く |
| 第25号 | そうざい製造業 | 通常副食物として供される煮物(佃煮を含む)・焼物(いため物を含む)・揚物・蒸し物・酢の物またはあえ物、あるいはこれらと米飯等を組み合わせた食品を製造する営業 |
| 第26号 | 複合型そうざい製造業 | そうざい製造業と併せて、食肉処理・菓子製造業・水産製品製造業・麺類製造業に係る営業を行う(重要工程管理を行う場合に限る) |
実施機関の受験案内では、この4類型に加えて第一号「寄宿舎、学校、病院等の施設」について「継続して1回20食以上又は1日50食以上飲食物を調理して供与する施設」という具体的な規模の目安が示されています。この文言はセンター・群馬県・長野県・静岡県など複数の実施機関の受験案内で共通して使われており、実務上の判断基準として定着しています。
出典:e-Gov法令検索「調理師法施行規則」第4条/e-Gov法令検索「食品衛生法施行令」第35条/調理技術技能センター「令和8年度調理師試験」
4「2年」の数え方――勤務形態・複数職場・休暇の扱い
パート・アルバイトでも「週4日以上かつ1日6時間以上」なら認められる
正規職員でなくても、週4日以上かつ1日6時間以上の実働で反復継続的に調理業務に従事していれば、職歴として認められます。センターの案内はこれを原則としつつ、静岡県の案内はさらに踏み込んで「次の施設等で証明の日までに2年以上、週4日以上かつ1日6時間以上調理業務に従事した者」と、週の合計時間だけでなく個々の要件(週4日・1日6時間)をすべて満たす必要があることを明記しています。
都道府県によって基準が緩和される例もある
調理技術技能センターの愛知県ページには、次のような愛知県独自の緩和条件が明記されています。
つまり、週あたりの合計実働時間(愛知県の場合はいずれも週20〜24時間程度)を基準に、日数と時間の組み合わせに一定の幅を持たせている実施機関もあります。基準は全国一律ではないため、自己判断せず受験する都道府県の受験案内を確認してください。
出典:調理技術技能センター「令和8年度調理師試験(愛知県)」/静岡県「調理師試験」受験資格
従事期間・長期休暇・複数職場の扱い
- 従事期間は、調理業務従事証明書の証明日現在で2年以上が必要です。
- 勤務先で1か月以上の長期休暇がある場合は、その期間を除いて2年以上が必要です。
- 異なる期間に2か所以上の施設で従事した場合は、施設ごとに証明書が必要です(合算して通算2年以上を満たす形で構いませんが、それぞれの施設の施設長による証明が必要になります)。
- 調理業務従事証明書は施設長(勤務先施設の長または法人代表者)が作成するもので、受験者本人は記入も修正もできません。
5ここでつまずく――「調理業務と認められない」ケース
受験資格でいちばん誤解が多いのがこの部分です。飲食の現場で2年働いていても、内容によっては職歴として認められません。センターの案内が明示している例を整理します。
調理業務とは認められない業務
- 喫茶店営業(設備を設けて酒類以外の飲物または茶菓を客に飲食させる営業)での業務。飲食店営業等でも、担当している業務が同程度の内容である場合を含みます。
- 食肉処理(畜肉の解体、分割等)、食品製造(調味料、菓子・パン、麺、水産製品等の製造)、飲料の調製。
- 簡易な飲食店営業の対象となる調理。具体例として、既製品(そのまま喫食可能な食品=そうざい、ハム、ソーセージ、缶詰、おでん等)を開封・加温・盛り付けして提供する営業、半製品を簡易な最終調理(揚げる・焼く等)で提供する営業(唐揚げ、フライドポテト等)、米飯を炊飯する営業、冷凍パン生地を焼成する営業。
そもそも「従事していた」と認められないケース
- 専ら調理品の運搬・配達・食器洗浄等(ウェイター・ウェイトレス等を含む)に従事している場合
- 栄養士・保育士・看護師・ホームヘルパー等の職種として採用されている場合(通常の勤務体系で専ら調理業務に従事している場合は認められます)
- 料理学校等で調理実習指導等に従事している場合
- 会社や研究所等で食品開発業務の一環として従事している場合
- 食品衛生法による営業許可を受けていない施設で従事していた期間(寄宿舎・学校・病院等の給食施設の場合は認められます)
- 菓子製造業または喫茶店営業の許可のみを受けた営業施設で従事している場合
- 飲食店営業の許可を受けた施設であっても、主にケーキやデザート類・パン製造の業務に従事している場合(調理パンのうち専ら料理の部分を担当している場合は認められます)
- 外国の飲食店で従事している場合
- 高校在学期間中に従事している場合(定時制・通信制課程の場合は認められます)
群馬県の受験案内も、これとほぼ同趣旨の除外事項を明記しています。「食材を洗う、料理を盛りつける、野菜を切る又は料理を再加熱して供する行為しか行っていない場合」は職歴として認められないと、より具体的な作業レベルで例示している点が特徴です。
出典:調理技術技能センター「令和8年度調理師試験」職歴に関する注意事項/群馬県「令和8年度群馬県調理師試験のご案内」
6提出書類の実務――証明書・印鑑・卒業証明書は令和8年度から不要に
- 調理業務従事証明書:施設長(勤務先施設の長または法人代表者)が作成。個人が証明する場合は、市区町村に登録された実印を押印し、印鑑登録証明書(複写無効)が必要。法人が証明する場合は、職印または登記された印鑑を押印し、登記印を用いる場合は印鑑証明書(複写無効)が必要です。
- 卒業証明書は令和8年度の提出書類から不要になりました。センターの案内には「調理師法施行規則の一部改正に伴い、『卒業証明書』の提出は不要となりました」と明記されています。これは法令上の受験資格そのものが変わったわけではなく、提出書類(手続き)の簡素化である点に注意してください。
- 受験時と現在の氏名が異なる場合は、戸籍個人事項証明書(戸籍抄本)等(発行後6か月以内)が必要です。
- 外国籍の方は、国籍等表示のある住民票(発行後6か月以内、個人番号非表示)が必要です。
7受験資格を満たしても、合格=調理師ではない
試験に合格しただけでは、まだ調理師ではありません。合格後に、住所地の都道府県知事へ免許の申請をして、はじめて調理師の免許が与えられます(調理師法第3条)。この免許申請の手続きは、受験資格とは別の話である点に注意してください。
8よくある質問
Q. パート・アルバイトの勤務でも受験資格の2年に数えられますか?
認められる場合があります。原則は週4日以上かつ1日6時間以上の勤務(実働)ですが、愛知県のように「週5日以上かつ1日5時間以上」等の緩和条件を設けている実施機関もあります。従事期間は証明日現在で2年以上必要で、1か月以上の長期休暇がある場合はその期間を除いて2年以上必要です。
Q. 複数の職場での勤務を合算して2年にできますか?
できます。ただし異なる期間に2か所以上の施設で従事した場合は、施設ごとに調理業務従事証明書が必要です。合算した結果が通算2年以上であることが必要です。
Q. 喫茶店やカフェでの勤務は職歴に入りますか?
喫茶店営業(設備を設けて酒類以外の飲物または茶菓を客に飲食させる営業)での業務は調理業務とは認められません。飲食店営業等であっても、担当している業務が同程度の内容である場合を含みます。菓子製造業または喫茶店営業の許可のみを受けた施設での勤務、飲食店営業の許可がある施設でも主にケーキやデザート類・パン製造に従事している場合も職歴と認められません。
Q. 卒業証明書は提出しなくてよいのですか?
令和8年度の提出書類からは不要になりました。調理師法施行規則の一部改正に伴う手続きの簡素化で、受験資格の内容(学歴・職歴の要件)自体が変わったわけではありません。
Q. 外国の学校を卒業した場合はどうすればよいですか?
学校教育法により各種学校として認可されている外国人学校の卒業者、外国における学校教育が9年未満の課程の卒業者は、都道府県知事による学力認定書が必要です。発行に時間がかかるため、住所地を管轄する都道府県の担当部署へ早めに相談してください。
Q. 試験に合格すればすぐに調理師になれますか?
いいえ。調理師法第3条により、調理師の免許は申請に基づいて都道府県知事が与えます。合格後に住所地の都道府県知事へ免許を申請する手続きが必要です。
9受験資格を確認したら、あとは1問ずつ
学歴と実務2年を満たしたら、次は試験対策です。スキマ時間にスマホで進められる調理師試験対策アプリ「チョーリトール」を開発・運営しています。
- 6科目のオリジナル問題823問(公衆衛生学・食品学・栄養学・食品衛生学・調理理論・食文化概論)
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10あわせて読みたい
出典・参考にした公式発表一覧
- e-Gov法令検索「調理師法(昭和三十三年法律第百四十七号)」第3条
- e-Gov法令検索「調理師法施行規則(昭和三十三年厚生省令第四十六号)」第4条
- e-Gov法令検索「食品衛生法施行令(昭和二十八年政令第二百二十九号)」第35条
- 公益社団法人調理技術技能センター「令和8年度調理師試験」(受験資格・職歴に関する注意事項・提出書類)
- 調理技術技能センター「令和8年度調理師試験(愛知県)」(週5日5時間等の緩和条件)
- 群馬県「令和8年度群馬県調理師試験のご案内」(受験資格・職歴の作業レベルの例示)
- 静岡県「調理師試験」(週4日6時間の具体例)
- 北海道「令和8年度北海道調理師試験について」(免許申請時の医師診断書の要否)