食品衛生学の要点とひっかけ(調理師試験 論点テキスト)
調理師試験の「食品衛生学」にあたる22論点を、要点154本・ひっかけ78本にまとめました。
最終更新:2026年10月10日
このページの論点
- 食品衛生法と行政
- 食中毒の基礎
- 細菌性食中毒
- ウイルス・自然毒・化学・寄生虫
- 添加物・表示・器具容器
- 衛生管理
食品衛生法の目的と基本規定
食品衛生法の目的、食品・添加物・営業の定義、禁止される食品の販売、行政の所管の変化が問われる。
要点
- 食品衛生法第1条の目的は、飲食に起因する衛生上の危害の発生を防止し、国民の健康の保護を図ることである。
- 食品衛生法上の食品は、医薬品・医薬部外品・再生医療等製品を除くすべての飲食物をいい、添加物も食品に含まれる。
- 添加物は、食品の製造・加工・保存の目的で、食品に添加・混和・浸潤等の方法で使用する物をいう。
- 腐敗・変敗したもの、有毒・有害な物質を含むもの、病原微生物に汚染されたもの等は、販売等が禁止されている。
- 食品の規格基準策定など食品衛生基準行政は、2024年度に厚生労働省から消費者庁へ移管された。
- 営業とは、飲食店に限らず、業として食品や添加物を採取・製造・加工・調理・貯蔵・運搬・陳列・販売する行為全般をいう。
ひっかけ
- 食品表示の適正化は食品表示法、栄養状態の改善は健康増進法の目的であり、食品衛生法の目的と取り違えない。
- 営業施設への立入検査などの監視行政は引き続き厚生労働省が所管し、消費者庁へ移ったのは基準行政である。
- 黄色ブドウ球菌の毒素のように加熱で分解されない毒素があるため、十分に加熱しても販売禁止は解除されない。
営業許可・届出と衛生管理者
営業許可・届出制度の見直し、医師の届出、食品衛生監視員・管理者・責任者の違い、許可権者が問われる。
要点
- 営業許可業種は2021年6月に32業種へ再編され、許可以外の業種に届出制が新設された。
- 飲食店営業を始めるには、保健所へ申請し、都道府県知事等の許可を受ける必要がある。
- 食中毒患者を診断した医師は、直ちに最寄りの保健所長に届け出る義務を負う。
- 営業届出制度は、乳類販売業や氷雪販売業など、公衆衛生上のリスクが低い業種を対象に設けられた。
- 食品衛生監視員は都道府県等に置かれ、営業施設への立入検査や食品の収去、衛生指導などを行う。
- 食品衛生管理者は、添加物や食肉製品の製造業など、政令で定める業種に設置義務がある。
- 営業許可の取消しや営業の停止を命じる権限は、都道府県知事等が持つ。
- 食品等事業者が自主回収を行う場合は、その情報を行政機関に届け出る義務が課されている。
ひっかけ
- 立入検査や収去は食品衛生監視員の職務であり、民間の責任者である食品衛生責任者にその権限はない。
- 営業許可の有効期間は全国一律の3年ではなく、5年を下らない範囲で自治体が業種ごとに定める。
- 営業届出制度が新設されても許可制度は廃止されておらず、飲食店営業などは従来どおり許可が必要である。
- 施設ごとに置く食品衛生責任者と、行政職員である食品衛生監視員は別の概念であり、取り違えない。
食中毒の分類と発生状況
感染型と毒素型の違い、病因物質の分類、食中毒統計の傾向、発生時の施設側の対応が問われる。
要点
- 感染型は生きた菌が体内で増殖・感染して発症し、毒素型は食品中で産生された毒素を摂取して発症する。
- 病因物質別の事件数では、ノロウイルス、カンピロバクター、アニサキスが上位を占める傾向が続いている。
- 芽胞を形成する菌は、通常の加熱調理条件では死滅しにくく、乾燥や熱に対する抵抗性が高い。
- サルモネラ属菌による食中毒は、腸管内で増殖してから発症する感染型に分類される。
- 食中毒統計では、病因物質を細菌、ウイルス、寄生虫、化学物質、自然毒等に分類する。
- 食中毒が疑われる場合、調理施設は保健所の調査に協力し、検食や関係記録を保全して原因究明に協力する。
- 赤痢・コレラ等の経口感染症は、汚染された飲食物や水を介して感染しうる。
- 寄生虫のアニサキスは、近年の統計で事件数が最多クラスを占める年が続いている。
ひっかけ
- 芽胞の有無は感染型と毒素型を分ける基準ではなく、分類は菌が体内で増えるか毒素を摂取するかで決まる。
- ヒスタミンによる食中毒は細菌性の毒素型ではなく、化学性食中毒に分類される。
- セレウス菌の嘔吐型は米飯・めん類の作り置きが原因であり、生の二枚貝はノロウイルスの主な原因食品である。
- 調理従事者の健康状態の確認と検便は、調査終了後ではなく疑いが生じた時点で速やかに行う。
細菌の増殖条件と食品の変質
予防の三原則、細菌の増殖条件、危険温度帯、水分活性、腐敗と発酵、油脂の酸敗、低温保存の限界が問われる。
要点
- 食中毒予防の三原則は、菌を「つけない」「増やさない」「やっつける」ことである。
- 細菌が増殖するには栄養・水分・温度の三要素が必要で、どれか一つでも欠けると増殖できない。
- 多くの食中毒菌は20〜50℃前後で最も活発に増殖し、増殖しうる危険温度帯は一般に10〜60℃とされる。
- 乾燥・塩蔵・糖蔵は食品の水分活性を下げ、自由水を減らして微生物の増殖を抑制する。
- 腐敗も発酵も微生物の作用であり、有益な変化を発酵、有害・不快な変化を腐敗と呼ぶ。
- 油脂は空気・光・熱等の作用で酸化し、不快臭や有害な過酸化物を生じて変敗する。
- 大腸菌群は糞便汚染や加熱不足の指標であり、その検出は衛生上の問題を示唆する。
- −15℃以下では細菌は増殖できず、冷凍は増殖を停止させる操作である。
ひっかけ
- 低温保存は増殖を抑えるだけで多くの細菌は死滅しないため、解凍後は速やかに調理し再冷凍を避ける。
- 初期腐敗の目安となる生菌数は、食品1gあたり10個程度ではなく10の7乗〜10の8乗個程度である。
- 水分活性は高いほど微生物が増殖しやすく、低いほど増殖しにくい。高低の向きを逆に取り違えない。
サルモネラ属菌と腸炎ビブリオ
サルモネラ属菌と腸炎ビブリオの分類、潜伏期間、原因食品、性質、予防法の違いが問われる。
要点
- サルモネラ属菌は感染型で、潜伏期間はおおむね6〜48時間程度である。
- サルモネラ属菌は鶏の腸管等に生息し、鶏卵や食肉、特に鶏肉が主な原因食品である。
- サルモネラ属菌は加熱に弱く、中心温度75℃で1分以上の加熱により死滅する。
- サルモネラ属菌は芽胞を形成しないが、乾燥した環境でも比較的長く生存できる。
- 腸炎ビブリオは感染型で、増殖速度が非常に速く、潜伏期間は8〜24時間程度と比較的短い。
- 腸炎ビブリオの主な原因食品は、刺身や寿司など生食用の海産魚介類である。
- 腸炎ビブリオは3%前後の食塩濃度でよく増殖する好塩性の細菌で、真水には弱い。
- 腸炎ビブリオの予防には、魚介類を真水でよく洗い、低温で保存することが有効である。
ひっかけ
- 数分〜数時間で発症するのは黄色ブドウ球菌などの毒素型で、感染型のサルモネラ属菌の潜伏期間は6〜48時間である。
- 生肉用と加熱済み食品用の調理器具を共用すると二次汚染の原因となるため、器具は使い分けるか十分に洗浄・消毒する。
- 腸炎ビブリオは好塩菌のため、食塩水で洗っても死滅せず、かえって増殖を助けるおそれがある。
カンピロバクターと腸管出血性大腸菌
カンピロバクターと腸管出血性大腸菌の潜伏期間、原因食品、少量発症、合併症の違いが問われる。
要点
- カンピロバクターは潜伏期間が2〜7日と長く、原因食品の特定が難しくなる一因となっている。
- カンピロバクターは鶏の腸管内に生息することが多く、加熱不十分な鶏肉や生レバーが主な原因となる。
- カンピロバクターは通常の大気より酸素濃度の低い微好気的環境を好んで増殖し、乾燥には弱い。
- カンピロバクター感染後には、まれに末梢神経障害であるギラン・バレー症候群を合併することがある。
- 腸管出血性大腸菌の潜伏期間はおおむね3〜8日で、細菌性食中毒の中でも長い。
- 腸管出血性大腸菌は、加熱不十分な食肉(特に牛肉)や、汚染された井戸水・生野菜が主な原因食品となる。
- 腸管出血性大腸菌はベロ毒素を産生し、重症化すると溶血性尿毒症症候群(HUS)を合併することがある。
- 腸管出血性大腸菌の予防では、食肉を中心部まで十分に加熱し、調理器具の使い分けなどで二次汚染を防ぐ。
ひっかけ
- 溶血性尿毒症症候群は腸管出血性大腸菌の合併症であり、カンピロバクターの合併症はギラン・バレー症候群である。
- 腸管出血性大腸菌感染症は五類ではなく三類感染症で、飲食物に直接接触する業務への就業制限の対象となる。
- カンピロバクターは食品中で大量に増殖しなくても、数百個程度の少量の菌で発症する。
- 食酢に漬け込んでも腸管出血性大腸菌は死滅しないため、酢の処理で加熱を省略することはできない。
黄色ブドウ球菌とボツリヌス菌
黄色ブドウ球菌の毒素の耐熱性と手指由来の汚染、ボツリヌス菌の嫌気性・毒素と芽胞の耐熱性の差、乳児ボツリヌス症が問われる。
要点
- 黄色ブドウ球菌は毒素型で、潜伏期間は1〜5時間程度と非常に短い。
- 黄色ブドウ球菌の菌自体は熱に弱いが、産生するエンテロトキシンは耐熱性が高く、通常の加熱調理では分解されにくい。
- 黄色ブドウ球菌は手指の傷やのどに常在し、おにぎりや調理パンなど手指を介する食品が原因になりやすい。
- 黄色ブドウ球菌の予防では、手指を洗浄・消毒し、手指に化膿創がある場合は調理作業を控える。
- ボツリヌス菌は偏性嫌気性の芽胞形成菌で、酸素の少ない環境で増殖しやすい。
- ボツリヌス菌の原因食品は、いずしや、缶詰・瓶詰・真空パックなどの密封容器詰め食品である。
- ボツリヌス菌の神経毒素は80℃30分の加熱で失活するが、芽胞は耐熱性が高く120℃4分の加熱が必要である。
- 乳児ボツリヌス症を防ぐため、1歳未満の乳児にははちみつを与えてはならない。
ひっかけ
- ボツリヌス毒素は熱に弱く加熱で失活し、耐熱性が高いのは芽胞のほうである。黄色ブドウ球菌の毒素と取り違えない。
- はちみつは加熱しても芽胞が死滅しないため、加熱してから与えても乳児ボツリヌス症は防げない。
- 黄色ブドウ球菌の潜伏期間は1〜5時間程度(平均約3時間)と短く、2〜7日程度と長いのはカンピロバクターである。
セレウス菌・ウェルシュ菌・リステリア
セレウス菌の嘔吐型・下痢型、ウェルシュ菌の嫌気性と大量調理、リステリア菌の低温増殖が問われる。
要点
- セレウス菌には嘔吐型と下痢型があり、嘔吐型は潜伏期間が短く、下痢型は嘔吐型より長い。
- セレウス菌の嘔吐型は米飯やチャーハン等のでんぷん質食品が原因となることが多く、原因毒素は耐熱性が高い。
- セレウス菌の予防では、米飯や麺類を調理後に室温で長時間放置せず、速やかに冷却・保存する。
- ウェルシュ菌は感染型(生体内毒素型)で、潜伏期間は6〜18時間である。
- ウェルシュ菌は偏性嫌気性の芽胞形成菌で、芽胞は耐熱性が高く、「給食病」とも呼ばれる。
- ウェルシュ菌の原因食品は、カレー、シチュー、煮物など大量調理し作り置きされた食品である。
- ウェルシュ菌の予防では、大量調理時は小分けして速やかに冷却し、再加熱は中心部まで十分に行う。
- リステリア菌は冷蔵などの低温でも増殖でき、加熱せずに食べるナチュラルチーズや生ハムで注意が必要である。
ひっかけ
- セレウス菌の下痢型の毒素は易熱性であり、加熱で分解されにくい耐熱性の毒素は嘔吐型のセレウリドである。
- セレウス菌の下痢型は食肉や野菜などが原因食品で、潜伏期間は8〜16時間程度であり、嘔吐型の米飯・めん類とは異なる。
- ウェルシュ菌は酸素を嫌う嫌気性菌であり、かき混ぜて空気に触れさせても予防にはならない。
- リステリア菌は低温には強いが熱には弱く、通常の加熱調理で死滅する。低温での増殖性と耐熱性を混同しない。
ノロウイルス食中毒と予防
ノロウイルスの潜伏期間、感染経路、加熱条件、消毒剤、調理従事者の管理が問われる。
要点
- ノロウイルスはウイルス性食中毒の代表で、潜伏期間は24〜48時間程度である。
- ノロウイルスの感染経路は、カキなど二枚貝の生食・加熱不足と、調理従事者を介した二次汚染である。
- ノロウイルスの加熱は、中心温度85〜90℃で90秒以上が目安で、消毒には次亜塩素酸ナトリウムが有効である。
- ノロウイルスはエンベロープを持たないため、一般的なアルコール消毒の効果は限定的である。
- ノロウイルスの予防では、調理従事者の健康管理と定期的な検便検査を行い、器具は洗浄後に次亜塩素酸ナトリウムで消毒する。
- ノロウイルス食中毒は冬季に多く、二枚貝や感染者の手指・吐物を介して感染が広がる。
- ノロウイルスは食品中では増殖せず、感染した人の腸管内でのみ増殖して大量のウイルスを排出する。
ひっかけ
- 中心温度75℃1分の加熱は多くの細菌を死滅させる基準だが、ノロウイルスの不活化には足りない。
- 症状が治まった後も1〜2週間、長い場合は1か月程度は糞便中にウイルスが排出されるため、回復後も手洗いを徹底する。
- アルコール消毒だけに頼って、加熱や検便検査を省略することはできない。
自然毒による食中毒
フグ毒、毒キノコ、ジャガイモの毒、貝毒、かび毒など自然毒の毒成分・部位・加熱への耐性が問われる。
要点
- フグ毒のテトロドトキシンは卵巣や肝臓に多く蓄積し、加熱調理によっても分解されない。
- フグ中毒は口唇や舌のしびれから始まり、進行すると全身の運動麻痺や呼吸筋麻痺に至ることがある。
- フグの調理には都道府県が定める資格が必要な場合が多く、多くの都道府県が条例等で取扱いを制限している。
- ツキヨタケは食用のムキタケやヒラタケと外見が似ており、誤食されやすい。
- ドクツルタケはアマトキシン類を含み、致死性が高く、肝臓障害を起こす猛毒キノコである。
- ジャガイモのソラニンは、発芽部位や日光に当たり緑化した皮に多く、加熱では分解されにくい。
- 貝毒には麻痺性と下痢性があり、貝が有毒プランクトンを捕食・蓄積したもので、加熱で分解されにくい。
- アフラトキシンはアスペルギルス属のかびが産生するかび毒であり、毒キノコの成分ではない。
ひっかけ
- テトロドトキシンは加熱しても消えないため、有毒部位の除去はふぐ処理者が行う。
- ドクツルタケの毒はフグ毒のテトロドトキシンではなく、肝臓を侵すアマトキシン類である。
- イヌサフランの毒はコルヒチンであり、行者にんにくと間違えた誤食が多い。
- ジャガイモの毒は水にさらす程度の下処理では十分に取り除けず、芽や緑色の皮を除くことが予防の基本である。
化学性食中毒・かび毒・残留農薬
ヒスタミン・かび毒・残留農薬・アクリルアミドなど、化学物質に由来する食中毒と、その防ぎ方が問われる論点である。
要点
- ヒスタミン食中毒は、赤身魚のヒスチジンがヒスタミン産生菌の働きで変化・蓄積して起こり、熱に安定なため加熱では防げない。
- ヒスタミンの予防は、鮮度の良い魚を買い、常温放置を避けて低温で管理することが基本である。
- 化学性食中毒は、食品への薬剤や有害な化学物質の誤混入などによって発生する食中毒である。
- 残留農薬のポジティブリスト制度は、残留基準が設定されていない農薬・動物用医薬品等の残留を原則禁止する制度である。
- アフラトキシンはアスペルギルス属の一部のカビが産生し、強い発がん性があって耐熱性が高いカビ毒である。
- アクリルアミドは、アスパラギンと糖が高温加熱で反応して生成し、いもや穀類を揚げる・焼く際に生じる。
- マーケットバスケット方式は、実際に流通する食品を購入し、そこからの摂取量を推定する方法である。
ひっかけ
- ヒスタミンは熱に安定な物質であり、通常の加熱調理で分解・無毒化されるわけではない。
- アフラトキシンなどのマイコトキシンは熱に対して非常に安定で、通常の調理加熱では分解されない。
- ポストハーベスト農薬は栽培中の防除用ではなく収穫後に使用する農薬であり、残留基準の根拠は食品衛生法である。
寄生虫による食中毒
アニサキス・クドア・サルコシスティス・旋毛虫など、寄生虫ごとの寄生先、症状、死滅させる方法が問われる論点である。
要点
- アニサキスはサバ、アジ、イカなどの内臓に寄生し、鮮度が落ちると筋肉に移行することがある。
- アニサキスは-20℃で24時間以上の冷凍、または60℃1分・70℃以上の加熱で死滅する。
- アニサキス症では、生食後数時間以内に激しい腹痛や嘔吐を起こすことがある。
- クドアはヒラメの筋肉に寄生し、食後数時間で一過性の嘔吐・下痢を起こすことがある。
- クドアは冷凍(-20℃で一定時間以上)または加熱で死滅させられる。
- サルコシスティスは馬肉に寄生する住肉胞子虫で、馬刺しの生食で一過性の下痢・嘔吐を起こし、冷凍で死滅する。
- 旋毛虫はクマ肉等のジビエの生食や加熱不足で感染し、幼虫が筋肉に寄生して筋肉痛や浮腫を起こす。
ひっかけ
- アニサキスは食酢・塩・わさび・しょうゆでは死滅せず、しめさばを食べても発症しうる。
- 旋毛虫の原因は加熱不十分な豚肉やジビエであり、サバなどの海産魚介類ではない。
- サバの内臓に寄生するのはアニサキス、ヒラメの筋肉に寄生するのはクドアであり、取り違えない。
食品添加物の指定制度と使用基準
食品添加物はどのような仕組みで指定され、どう使用が制限されるか(指定添加物・既存添加物・使用基準・ADI)が問われる論点である。
要点
- 食品添加物の指定制度は、安全性と有効性が確認された物質のみ使用を認め、原則としてリストにない物質は使用できない。
- 指定添加物を指定するのは内閣総理大臣であり、2024年4月に厚生労働大臣から移管された。
- 既存添加物は、天然由来で長年の使用実績があり、例外的に使用が認められている添加物である。
- 添加物には対象食品や最大使用量などの使用基準が個別に定められ、無制限には使用できない。
- ADI(一日摂取許容量)は、一生涯毎日摂取しても健康影響がないとされる量で、使用基準を設定する根拠になる。
ひっかけ
- 天然由来の物質であっても、添加物として使うには原則として指定が必要であり、自由に使えるわけではない。
- 使用基準を超えて添加物を使えば、単なる指導では済まず、食品衛生法違反として罰則の対象となりうる。
- 添加物の指定は使用実績だけでは行われず、動物実験等による科学的な安全性評価が必要である。
食品添加物の種類と用途
保存料・発色剤・酸化防止剤・甘味料・着色料・防かび剤など、添加物の用途区分ごとの代表例と働きが問われる論点である。
要点
- 次亜塩素酸ナトリウムは殺菌料として用いられるもので、甘味料ではない。
- 保存料はソルビン酸などが代表例で、微生物の増殖を抑制して保存性を高める目的で使用される。
- 亜硝酸ナトリウムはハム等の発色剤で、ボツリヌス菌の増殖抑制効果もある。
- 酸化防止剤はビタミンC・E等が代表例で、酸化による品質劣化を防ぐ目的で使用される。
- アスパルテーム等の甘味料には、フェニルアラニンを含む旨の表示義務がある。
- 食用赤色〇号等のタール色素は着色料で、物質名と用途名の併記が原則必要である。
- 防かび剤はOPPやイマザリル等が代表例で、輸入柑橘類のかび防止に使用される。
ひっかけ
- タール色素は天然由来ではなく、石油系原料から化学的に合成された着色料である。
- 微生物の増殖を抑えるのは保存料であり、酸化による劣化を防ぐ酸化防止剤とは用途が異なる。
- 防かび剤は、国産の農産物では収穫後のかび防止目的での使用が認められていない。
- 発色剤は着色料とは別の用途区分であり、着色料の一種として扱わない。
食品添加物の表示ルール
添加物は原則物質名で表示し、用途名の併記が必要な区分、一括名表示、表示が免除される場合の区別が問われる論点である。
要点
- 甘味料・着色料・保存料・増粘剤等・酸化防止剤・発色剤・漂白剤・防かび剤の8用途は、物質名に加え用途名を併記する。
- 添加物は原則として物質名で表示し、一部は用途名の併記や一括名表示が認められる。
- イーストフード、かんすい、香料などは、複数の同種添加物をまとめて用途を示す一括名で表示できる。
- 効果を及ぼさない加工助剤や、微量しか残らないキャリーオーバーは、表示が免除される。
ひっかけ
- 加工助剤やキャリーオーバーは、用途名を併記するのではなく、表示そのものが免除される。
- 栄養強化目的のビタミンやミネラルは、他の添加物と異なり、原則として表示が免除される。
- 一括名表示は表示義務を免除する制度ではなく、まとめて表示することを認めるにすぎない。
- 添加物の表示義務は輸入食品に限らず、国産で製造される食品にも課される。
アレルギー表示の対象品目
表示義務のある特定原材料9品目の内訳と、推奨表示の「準ずるもの」との区別、表示の対象範囲が問われる論点である。
要点
- 表示義務のある特定原材料は現在9品目であり、その中にはくるみが含まれている。
- 義務表示の特定原材料は、えび・かに・くるみ・カシューナッツ・小麦・そば・卵・乳・落花生の9品目である。
- くるみは2023年3月に特定原材料へ追加され、経過措置を経て現在は表示が義務化されている。
- くるみは経過措置を経て、2025年4月に表示が完全義務化された。
- そばや落花生は、微量の摂取でも重篤なアナフィラキシーショックを起こしやすいことで知られている。
- 表示が推奨される「特定原材料に準ずるもの」では、2024年にマカダミアナッツが追加され、まつたけが削除された。
- アレルゲン表示の対象は容器包装された加工食品で、外食や対面販売のばら売り等は表示義務の対象外である。
ひっかけ
- さばは義務表示の特定原材料ではなく、表示が推奨される「特定原材料に準ずるもの」である。
- 「準ずるもの」は推奨される任意表示であり、義務表示ではないため、表示を怠っても罰則は科されない。
- そばと落花生は表示が推奨される品目ではなく、表示が義務づけられた特定原材料である。
期限表示と遺伝子組換え食品の表示
消費期限と賞味期限の意味の違い、期限の設定の考え方、遺伝子組換え食品の審査と表示が問われる論点である。
要点
- 消費期限は、弁当や生菓子など品質が急速に劣化しやすい食品に表示される。
- 消費期限は劣化の早い食品の「安全に食べられる」期限、賞味期限は劣化の遅い食品の「おいしく食べられる」期限である。
- 消費期限はおおむね5日以内で、品質が急速に劣化する食品に表示する。
- 賞味期限はおいしく食べられる期限であり、過ぎても直ちに食べられなくなるわけではない。
- 遺伝子組換え表示の義務対象農産物には、大豆・とうもろこし・じゃがいもなどが含まれる。
- 期限表示は、客観的な試験・検査等に基づき科学的・合理的に設定する必要がある。
- 審査を経た遺伝子組換え農産物やその加工食品には、表示基準に基づく表示制度がある。
ひっかけ
- 消費期限・賞味期限は、未開封で表示された保存方法を守った場合の期限であり、開封後の日持ちを示すものではない。
- 安全の期限が消費期限、おいしさの期限が賞味期限であり、両者を入れ替えて取り違えない。
- 賞味期限は、期間が長いものであれば年月表示でもよく、年月日表示に限られない。
- 遺伝子組換え食品は、安全性審査を経て認められたものだけが流通でき、届出だけでは販売できない。
器具・容器包装の規制
食品衛生法による器具・容器包装の規制と、合成樹脂製品に導入されたポジティブリスト制度が問われる論点である。
要点
- 有害物質が溶出し健康を損なうおそれのある器具・容器包装は、販売等が禁止されている。
- 器具・容器包装のポジティブリスト制度は、2020年6月にまず合成樹脂製のものを対象として導入された。
- 銅は酸によって溶出しやすく、酸性の食品を長時間入れておくと銅中毒のおそれがある。
- 食品衛生法に基づき器具・容器包装には規格基準が定められ、有害な物質が食品へ溶出しないよう規制されている。
ひっかけ
- 器具・容器包装のポジティブリスト制度は、使用を禁止する物質を定めるネガティブリスト方式とは逆の仕組みである。
- 銅鍋は酸性食品の長時間保存には向かず、加熱調理に使ったあとは別の容器に移す。
- 器具は食品に直接触れなくても、成分が食品側へ移行しうるため、衛生管理が必要である。
HACCPの考え方と7原則
HACCPの基本的な考え方、制度化の時期と対象、7原則の順序とモニタリングの内容が問われる論点である。
要点
- HACCPは、各工程で危害要因を分析し、重要工程を監視・記録して安全性を確保する手法である。
- 2021年6月から、原則としてすべての食品等事業者にHACCPに沿った衛生管理が義務付けられた。
- 小規模な営業者等は、業界団体が作成した手引書を活用して、簡略化した取組を行うことができる。
- HACCPの7原則は、危害要因分析、重要管理点の決定、管理基準の設定、モニタリング、改善措置、検証、記録と保存の順に進める。
- 重要管理点のモニタリングは、加熱工程の中心温度と時間を相当な頻度で測定・記録することが例である。
- HACCPの原則1は、危害要因の分析(ハザード分析)を行うことである。
- 管理基準から逸脱した場合の改善措置は、あらかじめ定めておく。
ひっかけ
- HACCPは最終製品の抜き取り検査に頼るのではなく、工程を管理して危害の発生を未然に防ぐ考え方である。
- 小規模な飲食店もHACCPに沿った衛生管理の対象であり、規模が小さいことを理由に対象外とはならない。
- 一般的衛生管理はHACCPの土台であり、HACCPを導入しても不要にはならない。
- モニタリングの結果は記録として残す必要があり、検証や原因追跡に使われる。
大量調理施設衛生管理マニュアルの基準
大量調理施設衛生管理マニュアルが定める、加熱の中心温度と時間、検食の保存、調理後の温度と時間、原材料の保管温度が問われる論点である。
要点
- 加熱調理食品は中心温度75℃で1分間以上加熱し、ノロウイルス汚染のおそれのある二枚貝等は85〜90℃で90秒間以上加熱する。
- 検食は、原材料と調理済み食品を50gずつ、-20℃以下で2週間以上保存する。
- 調理後の食品は速やかに提供し、保管する場合は10℃以下または65℃以上で管理する。
- 調理後の食品は、速やかに、目安として2時間以内に喫食するのが望ましい。
- 原材料は、冷蔵のものは10℃以下(生鮮魚介類は5℃以下など品目別)、冷凍の食品は-15℃以下で保管する。
- 加熱の温度と時間の管理では、中心温度計を用いて複数点を測定し、記録を残すことが求められる。
ひっかけ
- 加熱の管理は表面ではなく中心温度で行い、表面だけが75℃に達しても十分とはいえない。
- ノロウイルス汚染のおそれのある二枚貝等は、65℃で1分間の加熱では不十分である。
- 検食は食中毒発生時の原因究明に用いるため、冷蔵ではなく冷凍で保存する。
- 調理後の食品は、細菌がよく増殖する10℃から65℃程度の温度帯を避けて保管する。
二次汚染防止と施設・従事者の衛生
二次汚染の防止、調理従事者の健康管理と手洗い、器具・施設の衛生、フードディフェンスなどが問われる論点である。
要点
- 二次汚染を防ぐため、生野菜と生の食肉・魚介類で器具を使い分け、下処理と調理の区域を分ける。
- 調理従事者は定期的な健康診断・検便を受け、下痢・嘔吐等の症状があるときは調理に従事しない。
- 手洗いは、指先・指の間・手首まで石けんで洗い、流水ですすぎ、ペーパータオル等で乾燥させる。
- 器具は使用後に流水で洗浄し、80℃で5分間以上の加熱またはこれと同等の効果を有する方法で殺菌する。
- フードカッター等の調理機械は、最低1日1回以上分解して洗浄・殺菌する。
- 加熱せず提供する野菜・果物は流水で洗浄し、必要に応じて次亜塩素酸ナトリウムで殺菌後にすすぐ。
- 調理施設では、汚染作業区域と非汚染作業区域を明確に区分し、交差汚染を防ぐ。
- フードディフェンスは、食品への意図的な異物や毒物の混入を防ぐ取組で、部外者の立入り管理や従業員教育、薬剤の保管管理が柱となる。
ひっかけ
- 下痢などの症状がある者は、使い捨て手袋をしていても食品を直接取り扱う作業に従事してはならない。
- 器具の洗浄・殺菌は使用後に行うもので、翌日の調理開始前にまとめて行うものではない。
- 手洗い後の水気は、共用タオルではなく使い捨てのペーパータオル等で拭き取る。
- 調理場の床は水で濡らしておくのではなく、乾いた状態を保つドライシステムが望ましい。
洗浄・消毒・殺菌の方法
煮沸・紫外線・エタノール・逆性石けん・次亜塩素酸ナトリウムなど、消毒法ごとの特徴と注意点が問われる論点である。
要点
- 煮沸消毒は物理的消毒法の一つで、器具等を沸騰した湯で一定時間加熱して殺菌する。
- 煮沸消毒は沸騰した湯の中で5分間以上煮る方法で、ふきんやタオルに適している。
- 紫外線消毒は、照射された表面にのみ効果があり、影になった部分には効果が及ばない。
- 消毒用エタノールは、濃度70%程度のときに最も高い殺菌効果を示す。
- 逆性石けん(陽イオン界面活性剤)は殺菌力があるが、洗浄力は弱く、汚れ落としには向かない。
- 次亜塩素酸ナトリウムは、まな板等の消毒やノロウイルス対策に用い、有機物が多いと効果が低下するため洗浄後に使う。
- 次亜塩素酸ナトリウムは光や熱で分解しやすいため、冷暗所で保管し、使用のたびに希釈して使う。
- まな板は洗浄後に熱湯や消毒剤で消毒し、よく乾燥させることが望ましい。
ひっかけ
- 次亜塩素酸ナトリウムは酸性の洗剤と混ざると有毒な塩素ガスが発生するため、絶対に混合しない。
- 次亜塩素酸ナトリウムは金属を腐食させるため、包丁などの金属製品の消毒には適さない。
- 逆性石けんは普通の石けんと混ぜると、互いのイオンが打ち消し合って効果が低下する。
- 消毒は病原微生物を害のない程度まで減らすことであり、すべての微生物を死滅させる滅菌とは区別される。
ほかの科目
この論点の問題は、アプリで解けます
「チョーリトール」は、調理師試験の6科目を論点ごとに学べる対策アプリです。論点テキストはアプリの中でも無料で読めて、各論点の問題へそのまま進めます。
関連ページ
→ 論点テキストの目次(6科目)
← 調理師試験とは?日程・受験資格・合格基準・合格率まとめ
→ 調理師試験の練習問題20問【無料・全問解説つき】
出典と作り方
この読み物は、アプリ「チョーリトール」の収録問題の解説をもとに、アプリ製薬が論点ごとに整理して作成したものです。公式の文章の転載ではありません。 問題文・選択肢は載せていません。収録問題は過去問ではなく、法令等の一次資料をもとに作成したオリジナル問題です。